永遠と青
テンペラで青を描いた
そして糸で縫う
永遠に近い青に
永遠とは遠い指先が触れて
見えないものが可視化される
それは尊い作業で
人が培ってきた技をなぞって
時を紡ぎ、ものをつくる
そしてどこまでも繋がっていく
パリに長く住み、ハイブランドのオートクチュール刺繍の職人として活躍する一方で、刺繍アーティストとしても表現をしてきた杉浦今日子さん。
今回はテンペラの技法に着目したところから制作が始まったそうだが、「時」を捉えているという。時を遡るような、または時が止まったような建築や場が残るフランスと、変化の激しい日本との往来により必然的にこのテーマに導かれたようにも思う。
15年のパリ暮らしにピリオドを打ち、昨年末に帰国して初めての展覧会となる。
「ヨーロッパの古い絵画技法『テンペラ』は顔料の色を忠実に発色する。経年による劣化、変色もない。西洋に残る中世の絵画が鮮やかな色合いを残すのはこの技法によるものだ。今回の作品はそのテンペラ絵具で色を付けた。どこまでの未来にこの青が残るのか。初めて「時」を意識した作品となった(杉浦今日子)」