「今の作風になるまで私は長い彫刻の歴史を丁寧にたどってきました。
古来、人は彫刻を作る事で何をしたかったのか、どういう工夫を重ねてきたのか考えてきました。
簡素な作りの小さな彫刻ですが、人にとって一番大事なもの「生きている事」ただその一点だけを表したいという思いで作っています。
彫刻は人にとって本質を表現できる媒体だと今でも思っています
(沢田英男)」
人によって「生きている事」の捉え方は千差万別ですが、
それぞれの世界の中に、生きていることの味わい、厚みがあります。
「生きている事」というとても重みのある人間のテーマを
とても削ぎ落とした形で表す、この究極さに沢田さんの彫刻の面白さがあるのだと思います。
色彩豊かな風景を描く廣川じゅんさん。
「波や風の音、植物や大地の匂い、温度や湿度感など、誰もに刻まれているだろう記憶」を表現しています。
具象で描き続けてきたこのテーマを抽象で掘り下げることをここ数年試みてきました。
今回は小さなキャンバスを直接具象を描くパレットとして使い、その後それ自体を抽象としてさらに仕上げることにより、同じテーマの具象と抽象を表現しています。
さあ、じゅんさんが導く記憶の旅に出かけましょう。